パニック速報

The next stage is paradise…

クリスマスと恋愛

最初はロマンだった。
女性にとってのロマンが少なかった時代にクリスマスをロマンチックな日にしたいと希求した。
願いはかなえられたが、スーツを着たおとなたちがやってきて若者向けのイベントとしてシステム化し、収奪機構として整備し、強迫観念として情報を流し続けた。
目的がしっかりしてるからシステムが強固である。子供は素直に信じる。
子供は十年で若者になる。1983年にシステム化された「恋人たちのクリスマス」は、冬至の祝祭の呪縛のように、人間社会の発生とともにあった制度然として存在してしまっているのだ。
もう逃げられない。

 1990年がピークだったが、1991年以降も恋人たちのクリスマスは続いた。

 80年代に作られたものは、90年代には拡大されることもなかったが、壊されることもなかった。
90年代は80年代の補強と定着に費やした十年だったのだ。
90年代はカルチャー面では、どこまでいっても80年代の補償期間でしかない。

 そしてそのまま恋人たちのクリスマスは21世紀に受け継がれ、固定されている。

 堀井憲一郎『若者殺しの時代』2006、講談社、P57より抜粋

かつて、サラリーマンの生涯年収は三億円と言われていた。正社員はありがたいステータスでもなんでもなかったし、年功序列的な賃金体系を信じることもできた。
年金制度を深刻に心配している人はまだ少なかった。手に入ったお金をかたっぱしから個人消費に回しても将来どうにかなる――そんな楽観的な空気があった。
 
 今は違う。サラリーマンの生涯年収は下がり始めている。
正社員はそれなりにありがたいステータスとなり、その正社員でさえ、いつリストラされるかわからない。
年金制度に期待している若者なんて、今は殆どいないだろう。生きていくにはカネがかかるのに、そのカネが増える見込みが立たない以上、財布の紐がキツくなるのは仕方ない。
収入に余裕の無い立場の若者の場合は特にそうだ。恋愛どころじゃない。



お金がなければ恋愛できない社会。 | 熊代亨
http://www.huffingtonpost.jp/toru-kumashiro/post_8440_b_5994140.html

↑長いし堅苦しいこと書いてありますが、面白かったので是非